S-1+CDDP療法

概略

胃癌の化学療法は長年5FU持続静注療法を超える治療成績を示すものがなかった。

しかし、2000年に5-FUの効果を増強し、副作用の軽減が計ることができたテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(S-1)が開発された。

その後、2007年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)において、日本より2つの第Ⅲ相試験の結果が報告された。

1つめの第Ⅲ相比較試験はJCOG9912試験で「5-FU持続静注療法」「CPT-11+CDDP」[S-1単独」の比較試験であり、「CPT-11+CDDP」[S-1単剤」は「5-FU持続静注療法」対して非劣勢である。

もう1つの第Ⅲ相比較試験はSPIRITSで「S-1単独」と「S-1+CDDP」の比較において、生存期間中央値はS-1単独群が11ヶ月であったのに対しS-1+CDDP併用群は13ヶ月であり、S-1単独群に対して、S-1+CDDP併用群の優越性が検証された。

この2つの臨床試験より、切除不能・再発胃癌のファーストラインはS-1+CDDPとされた。

但し、CDDPは腎毒性が強いため、高齢、腎機能障害、外来での化学療法等で施行が困難な

症例もある。

 

奏功率:74%、MST:383日

レジメン

初回投与基準

PS0-2

主要臓器機能に大きな異常が無い

骨髄機能

Hb9.0g/dl以上

  白血球 3500-12000/μL

  好中球 2000/μL以上

  血小板 10万/μL以上

肝機能

  総ビリルビン ULN(施設基準値上限)×1.5倍以内

  AST・ALT ULN×2.5倍以内

腎機能

  クレアチニン・クリアランス80mL/min以上

経口摂取が可能

慎重投与

PS3

骨髄機能

Hb8.0-9.0g/dl

  白血球 2000-3500/μL未満、12000/μL以上

  好中球 1000-2000/μL未満

  血小板 7.5-10万/μL未満

肝機能

  総ビリルビン ULN(施設基準値上限)×1.5倍を超えて3.0mg/dl未満

  AST・ALT ULN×2.5倍を超えて150IU/L未満

腎機能

  クレアチニン・クリアランス60以上80mL/min未満

経口摂取が可能

 

副作用

S-1:粘膜障害(口内炎、結膜炎、下痢)、手足症候群、白血球減少、色素沈着

CDDP:悪心・嘔吐、腎機能障害、聴力低下(1日投与量で80mg/m以上、総投与量では300mg/mを超えると聴力障害を起こす頻度が増す)末梢神経障害

減量、増量、延期、中止基準

TS-1 

 

   減量          初回基準量       増量

   休薬           40mg/回         50mg/回

休薬←40mg/回         50mg/回         60mg/回

休薬←40mg/回←50mg/回    60mg/回         75mg/回

項目

休薬、減量をする値、症状

再開の

目安

再開時減量を考慮する値、症状など  再開時減量の目安
白血球減少

≧Grade3

2000/μL未満

3000/μL

以上

≧Grade4

1000/μL未満

TS-1

60mg/回

→50mg/回

 

50mg/回

→40mg/回

 

40mg/回

→休薬または

投与期間短縮

 

CDDP

10mg/m単位を

目安として

減量

     

好中球減少

≧Grade3

1000/μL未満

1500/μL

以上

≧Grade4

500μL未満

血小板減少

≧Grade3

5万/μL未満 

7.5万/μL

≧Grade4

2.5万μL未満

発熱性好中球減少

≧Grade3

好中球1000/μL未満

発熱38.5度以上

好中球1000/μL以上

平熱 

≧Grade3

好中球1000/μL未満

発熱38.5度以上

総ビリルビン

ULN×1.5倍以上

(2mg/dl以上)

なお、肝障害が否定される間接ビリルビン値のみの上昇(2-3mg/dl程度)は治療継続可

ULN×1.5倍未満

(2mg/dl未満)

≧Grade2

ULN×1.5倍以上

(2mg/dl以上)

定期採血項目、期間、治療評価判定時期、検査方法

関連リンク

参照文献

TS-1ポケットガイド 大鵬薬品工業株式会社 2009.6